こんにちは。
今回は2020年度の教育改革で兵庫県公立高校入試システムはどのように変わるかを考えてみました。
兵庫県公立高校を主体に話が進んでいきますが、他県でも似たような現象が起こると思っています。もしご縁あってこのサイトの記事に辿り着いた方の中で他県の方がおられましたら、記事前半は兵庫県に関わらず2020年度教育改革について簡単にわかりやすくまとめていますのでご覧いただければ幸いです。
また、2020年度教育改革の【英語】に関しては以下の記事にまとめています。もし良かったらご覧ください。
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ドリル学習(詰め込み学習)からの脱却
今回の教育改革はドリル学習(詰め込み学習)からの脱却そして挑戦と言ってもいいと思います。
今からかれこれ20年程前の2000年代は「ゆとり教育」という方針が打ち出され、既存の「ドリル学習(詰め込み学習)」を緩和し、もっと社会人になってから必要となる「自分の知識を活用」する力を養うべきだという考えのもと実施されました。
詳細は割愛しますが、ご存じの通りこの方針はうまくいかず結局断念。
そしてその結果今まで既存の教育方針である「ドリル学習(詰め込み教育)」が消去法的に行われてきたわけです。
2020年度教育改革:入試システムの見直し
先ほどの「ゆとり教育」でも、その基本方針は「知識の活用」であって今回の教育改革と類似した内容が組み込まれていました。
しかし、なぜこの教育改革がうまく進まなかったのか?
それは、教育方針が変化しても、「入試システム」が変わらなかったからです。
いくら現場の教育方針が「知識の活用」と銘打っても、結局「入試システム」が従来のままの「ドリル学習(詰め込み学習)」を基盤とした入試問題であれば、受験生からしてみれば「知識の活用」のメリットがいったいどこにあるのか?そんなことしているよりも受験勉強に直結する「ドリル学習(詰め込み学習)」ほうがいい。という判断になるのは必然なことでしょう。
そういった背景もあり、2020年度の教育改革は入試システム(というか入試問題の内容)も変更する方向へと舵を切りました。
2020年度教育改革:求められる能力
2020年度の教育改革の基本教育は「知識・技能」、「思考力・判断力・表現力」、「主体性、多種性、協調性」の三つの柱を軸に考えられています。
知識・技能
基礎なる知識(英単語や歴史の登場人物)や技能(計算方法や正確性やスピード)を問うものであり、今までと特に違いはありません。もちろんこれらの能力は学力の基本であり、当然のことですね。
思考力・判断力・表現力
これが教育改革の新しく打ち出した方針の一つ。
世の中なんでもすぐに答えが求められることばかりではありません。答えは必ずしも一つというわけではなく様々な状況から最善であるという答えを自分で考え、導き出す能力が必要です。(というか、社会に出たらそのようなことばかりです。)
主体性・多様性・協調性
教育改革の新しく打ち出したもう一つの方針。
これがなかなか難しいというか、今の入試システムにどのように反映させるのか明確にわかりません。面接、志望理由書、プレゼンテーションなどを今まで以上に強化するというか重視するという形になりそうな気がします。
上の「思考力・判断力・表現力」と「主体性・多様性・協調性」は『アクティブラーニング』という手法でその能力を向上させる試みが各学校で積極的に取り入れられているようです。
兵庫県公立高校の入試はどう変わるのか?
ここからは推測ですが、以下の4点が考えられます。
①兵庫県一般入試の出題方法がガラッと変わる
今回の教育改革でまずは大学の出題方法が変わります。ご存じだとは思いますが、今までの「大学入試センター試験」を廃止し、「大学共通一次テスト(仮称)」に継承されます。
そうなってくると、芋づる式に高校受験もその出題形式も右習えで変化してくるはずです。
すでに兵庫県一般入試問題もその伏線がありますよね。
理科や社会の問題では、実験の考察や生徒の会話を読んで自分で判断する能力が求められたりなど、各科目ここ2年で入試問題の出題のされ方が少し変化してきています。(数学はそうでもありませんが)
ここ2年というのがポイントです。
上のリンク先にとんでもらったらわかると思いますが、大学一次共通テストサンプルが平成29年5月付のデータなんですね。
つまり、当然教育委員会の方々もこれをご覧になっているわけで、「あ、今後はこのような出題形式でいくんだな。」と確認されているわけです。それを入試作成担当者に伝えるわけですから、自ずとこの問題を意識した問題を作成しているだろう。
と推測できるわけです。
・・・だらだら書いてしまいました。
●兵庫県一般入試についてのポイントは以下の3点です。
・一般入試は大学共通一次に似た傾向の問題に変わる。(+記述問題が増える)
・内申点の配分の見直し(現状250:250)
・英語のリスニング問題の配点が増える。(現状は24/100)【大学共通一次は配点比率1:1】
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②一般入試に「面接」の導入
面接や小論文、ディスカッションなどの受験生の「主体性」や「表現力」を判定するにはこれが一番判断しやすい。
今後の教育改革の方針になぞらえると可能性としてはゼロではないような気がします。
ただ、受験生の数を考えると面接を1日で済ませるのは困難だと思いますし、別日を設定して行うなどの処置が必要になってくるでしょう。
③推薦入試、特色選抜枠の増加
上の話を踏まえると「推薦入試」や「特色選抜」の枠数を増加させるという方法のほうが現実的かもしれません。
現在でも面接や小論文、ディスカッションなどを判断基準にしているわけですからスムーズに教育改革の波に乗っていけるような気がします。
いきなり上記の一般入試の内容を大きく変化させると大変ですが、実験的にこちらの枠を増加しつつゆくゆくは一般入試でもという流れのほうが現実的な気がします。
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④「志望理由書」の義務化
兵庫県の一般入試では今まで志望理由書というものの提出はありません。(推薦入試、特色選抜はあります。)
もしかしたら、今回の入試改革でこのような「志望理由書」の類の書類提出が判断材料の一つして採用されるかもしれません。
実はお隣大阪府ではすでにこういった試みを始めています。
受験生には、「自己申告書」たるものを提出させています。詳細は上記のリンク先で確認してみてください。
まとめ
以上今回は教育改革に伴い兵庫県公立高校の入試がどのように変化するかを推察してみました。結構長くなってしまいましたね。今回の話を簡単にまとめると
実際のところ来年度を迎えなければどのように変化するのかわからない部分もありますが文部科学省が打ち出した今回の教育改革の波に各自治体が対応しないわけがありません。入試の出題方法や入試システムの見直しなど、各自治体で何がしたら対応処置を取っていくと思います。今後どのようにこの改革が進んでいくのが見守っていきたいと思います。
長々と書きましたが最後まで読んでいただきありがとうございました。
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